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そのお酒、ちょっと温めてみませんか。

みなさんこんにちは。さて、今回は寒さをグッと堪えられる体温まる飲み方、お燗について語らせていただきます。燗につけると一言でいっても色々な方法、色々なお酒があり迷ってしまいますよね。ですので、そんな迷いを払拭する特集になればと思います。ではまず温め方、燗のつけ方からご紹介します。

これぞ文明の利器!レンチンでお手軽に

どのご家庭にもおそらくあるであろう電子レンジ。あまりお燗に向かないと言われることも多い方法ですが、ポイントさえ押さえればお手軽にそして上手にお燗をつけることができます。さっそくその方法をご紹介します。電子レンジで燗をする場合は熱による対流がうまくいかず、お酒全体の温度が不均一になることを避けて工夫する必要があります。そこで、一番おすすめの方法が、片口を使用する方法です。口の広い片口にラップをして温めることで、温度のムラをなくし美味しいお燗酒を作ることができます。スタッフが実践した写真とともに解説していきます!


▲選んだお酒は千葉県藤平酒造さんの福祝純米山田錦8割磨き。


▲冷蔵庫から出して、まずは冷で1杯楽しみ、ちょっとあがってこの温度14.6度。片口に1合(180ml)入れ、2パターンのお燗を作ってみました。


▲まずは、ぬる燗と言われている40度あたりを目指して600wで60秒温めました。出来上がった温度は43.7度。惜しい!ちょっと上燗よりの温度になってしまいましたが、懸念していたムラは気にならず、味わいのバランスも崩れた様子はありませんでした。香りが冷よりほのかにたち、冷で感じた酸味がうまい具合に馴染んでいました。


▲次に熱燗と言われる50度あたりを目指し600wで90秒温めました。結果は熱燗と呼ぶには高い58.3度になってしまいました。実践したスタッフは悔しがっていました。


▲熱燗には少し高い温度でしたが、お猪口に移すと温度が下がりいい具合になりました。適温よりもすこし高い温度を狙って作ってもいいかと思います。味わいも冷で感じていた熟成香にマイルドさが交わり、心地よい香り。米の旨みと酸味がキレるいい仕上がりでした。以上を踏まえるとだいたい600Wで70~80秒くらいが熱燗を作るにはちょうどいいのかなと思います。ただし、お使いの電子レンジによって異なることがあるのでお気を付け下さい。

お燗の本領を発揮させるならこの方法

ズバリお燗と言えばこれ、「湯せん」をご紹介します。お湯からの熱伝導により、ゆっくりと温度を上げる方法です。時間をかけて温めることで対流が生まれ、目的の温度になる頃には全体が均一な温度になります。穏やかな加温によって、香りの立ち方も柔らかく、必要以上にアルコールが飛んだり、糖分が焦げたりすることがないので、燗を極めるなら湯せんをオススメします。湯せんはちょっぴり面倒くさい反面、色々な便利グッズも販売されており、面倒くささを楽しさに変えてくれるものがあります。燗用の温度計、卓上の燗付け器など、探せば色々と見つかるでしょう。手軽な方法として電気ポットのふたを取り除いて燗付け器にする裏技も。

アウトドアでは当たり前!?ヤカンに入れて直火で

ダイレクトで豪快な方法として、直火法があります。ヤカンに入れてコンロで加熱。微妙な温度帯での燗は難しいですが、しっかりと熱燗に仕上げたり、やや煮立たせてアルコールを飛ばして燗冷ましにするなどで楽しむことが出来ます。ワイルドな燗酒を楽しむならこの方法もオススメ。ただし、繊細な味わいの燗には向きません。アウトドアで楽しむ時、大人数でわいわいと楽しむ時、こういった方法だと雰囲気もあってアリかと思います。

どんなお酒でもお燗にするとおいしいの?

お燗のつけ方はご紹介しましたが、ではどんなお酒がお燗に向くのでしょうか。そこのところもご紹介させていただきます。人間の味覚は味わう物の温度によって変わります。例えば、甘味は35度をピークに温かくなればより感じやすくなり、温度に関係なく酸味の感じ方が変わらず、苦味については温かいほど感じにくくなります。つまり、冷で飲んだ時に酸がきつくて辛いお酒は、温めた時に甘味が膨らんでなめらかになります。苦味を感じるお酒は、暖めたほうが苦味を感じにくくなるので飲み易くなります。

さらに、味わいの要素のひとつである香りも、温度によって影響を受けます。特に最近では、日本酒にフルーティさを付与する為、メロン・洋ナシ・苺のような香り(カプロン酸エチル)や、バナナのような香り(酢酸イソアミル)などを多く含むお酒が増えました。温めてもおいしい果実の香りなら、燗でも美味しく膨らみますが、冷たい方が美味しい果実の香りの場合は燗にするとぼやけ、不快な香りに変わります。勿論、お米の香り、麹の香り、熟成によるこげた香りは温めた時に美味しく膨らみますので、燗向きです。

これらの観点からまとめると、燗向きのお酒選びのポイントは次の5つです。1.日本酒度の高い、甘くない酒、2.苦味の強い酒、3.しっかりとした酸がある例えば山廃・生酛系の酒、4.熟成による香味のある酒、5.果実系の香りならバナナ系の香りの酒。以上、お燗のつけ方とお燗に向くお酒のポイントを踏まえ、はせがわ酒店スタッフイチオシのお燗にして美味しいお酒たちをピックアップしたのでご紹介させていただきます。冷でもおいしいバランスのいいお酒ですので、温度での味わいの違いを飲み比べてみるのもおもしろいですね。

はせがわ酒店イチオシ!お燗で美味しいお酒たち


六十餘洲 純米 山田錦 / 長崎県 今里酒造
長崎県と佐賀県の県境。周囲を山に囲まれた静かな盆地にあるのが今里酒造です。ご紹介する商品は香りは穏やか、優しいタッチの飲み口。柔らかい米の旨みとキレの良さがあります。煮物との相性がいいお酒。お燗にするときは、40度くらいまでがオススメ。


三井の寿 山廃純米 穀良都 / 福岡県 みいの寿
科学とセンスと情熱を合言葉に酒造りに励んでいるのが みいの寿。そんなみいの寿が醸す穀良都という品種のお米を使用した山廃の純米酒。酸味が特徴的で、程よい熟成香と芳醇ながらもキレのある味わい。甘めなタレの焼き鳥や、カラスミに合わせてもおもしろいです。お燗にするときは、50度くらいまでがオススメ。


上喜元 赤ラベル 雄町 中取り 生もと純米吟醸 / 山形県 酒田酒造
昭和21年に5つの蔵元が合併してできたのが酒田酒造です。雄町を使用した生もと造りのこちらの商品。落ち着いた香りで口当たりは滑らか。雄町特有のふくらみのある豊かな味わい。あっさりした塩味の料理や白身魚が合うと思います。お燗にするときは、50度くらいまでがオススメ。


古伊万里 前 純米酒 / 佐賀県 古伊万里酒造
伊万里焼で有名な佐賀県伊万里市にある古伊万里酒造。こちらの純米酒はライトでシャープな香り、ジューシーな味わいで旨みも十分。適度な酸味で、飲み疲れもさせません。味付けの濃い煮込み料理などにあわせやすいです。お燗にするときは、40度くらいがオススメ。

最後まで読んでくださった皆さん、これでお燗のつけ方、お燗に向くお酒の選び方は完璧ですね。あとは実践あるのみ!こちらでご紹介した以外にも、お燗にして美味しいお酒たちをハッシュタグにまとめてあります。自分好みのお燗酒を見つけ、楽しんでくださいね。

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