世界屈指の美食の街 バスク地方の地ワイン「チャコリ」

スペインとフランスの国境付近に位置する小さな州「バスク」。最近では美食の街として世界中から注目を集める「サン・セバスチャン」や女性に人気の「バスク風チーズケーキ」で広く知られています。このバスク地方でつくられているのが、「チャコリ」と言われる地ワインです。生産量が少なく、ほとんどが地元のバルやレストランで消費されるため、日本ではあまり見かけることがありませんでしたが、バスク地方の知名度の上昇とともに「より高品質なワインを造ろう」と産地全体が盛り上がっていて、最近では美味しいチャコリが日本にも続々と輸入されているんです♪

チャコリと言えば、柑橘系の爽やかなな白ワインのイメージですが、少量の赤やロゼワインも造られています。チャコリに使われるのはバスク原産の品種がメインで、白ブドウ品種は「オンダリビ・スリ」「オンダラビ・スリ・セラティア」、黒ブドウ品種は「オンダリビ・ベルツァ」。

そして生産地は主に3つ、サン・セバスチャンを含む産地「ゲタリアコ・チャコリーナ」、生産者数が一番多い「ビスカイコ・チャコリーナ」、山間部の比較的新しい産地「アラバコ・チャコリーナ」。

■ゲタリアコ・チャコリーナ

3つの産地のうち、最も大きな産地で、サンセバスチャンのあるギプスコア県の産地。何キロも続く海岸線の風景が特徴的なギプスコアでは、海からの冷たい風の影響を受け、粘土質や石灰質の土壌からは、しっかりした酸味と豊かなミネラルが感じられるチャコリが造られています。

ゲタリアコ・チャコリーナ 2020 / イルスタ

世界最大のワインコンテスト、デカンターワールドワインアワードでプラチナメダルを獲得。チャコリ史上最高得点97点。そしてお値段も手頃。この価格でチャコリトップの味わいが楽しめます。多くのスペイン星付きレストランで採用されています。(オンダラビ・スリ85%、グロ・マンサン15%)

ゲタリアコ・チャコリーナ 2020 / スドゥガライ

昔ながらの素朴なチャコリ。地元の友人や知り合いの飲食店だけでほとんどが消費されていた、まさに地酒です。葡萄をつぶしてそのまま発酵させたような自然な味わいです。白系果実の香りで、新鮮なハーブの香りを感じます。微発泡感も爽やかで、するする飲めます。(オンダラビ・スリ 100%)

G22・チャコリ・ブランコ 2019 / ゴルカ・イサギレ

バスクを代表するレストラン「アスルメンディ」が手掛ける新世代高品質チャコリ。洋梨、熟れたりんご、グレープフルーツなどの鮮烈なアロマのあとに、白い花やレモンバーム、フェンネルなどの香りが複雑に続きます。しっかりとしたボディで、厚みのある複雑な味わい。(オンダラビ・スリ・セラティア)

■ビスカイコ・チャコリーナ

「ビスカイアの海バスク」。ゲタリアと同じく海沿いにある地域なので、酸とミネラル感のあるチャコリが造られています。軽やかでさわやかなゲタリアに対してビスカヤはより厚みのあるタイプが多く、微発泡性も少ないのが特徴です。

ビスカイコ・チャコリーナ 2020 / イチャスメンディ

柑橘や、白い花、アプリコットのようなフレッシュなニュアンスがあります。海風が当たる場所に畑がある為、塩味が味わいから感じられ。ミネラリーな余韻が長く続くメリハリのある味わい。良い意味でチャコリらしいチャコリ。(オンダラビ・スリ50%、オンダラビ・スリ・セラティエ50%)

■アラバコ・チャコリーナ

「アラバの山バスク」。3つの中で唯一内陸に位置する産地です。比較的新しい産地のため、生産者の数も他の地域に比べると多くありません。海岸沿いのゲタリアやビスカイヤに比べ、昼夜の寒暖差が大きい山間部で栽培される葡萄から造られるワインは、コクと厚みのある味わいで、熟成のポテンシャルも秘めています。

 

今回はトップ生産者の美味しいチャコリ4選をご紹介させて頂きました。そして、最後にチャコリの楽しみ方についてのプチ情報です。チャコリと言えば、エスカンシア!高いところからグラスに注ぐ姿を想像される方も多いかと思いますが、これはもともと酸っぱすぎるチャコリを飲みやすくするために始めたもの。栽培方法や醸造技術が進歩して、美味しいチャコリをつくれるようになった今では、もはや懐かしの光景です。高品質なチャコリは、ワイングラスにそっと注いて楽しんでください。サン・セバスチャンやビルバオなど、港町の多いバスク。地元でも人気の魚介料理との相性はもちろんのこと、チャコリの一番の魅力は、食中酒として幅広い料理と楽しめることです ♪