ブルゴーニュの人気ドメーヌ「ドメーヌ・デュジャック」

「モレ・サン・ドニは、デュジャックなしには語れない。」それほど素晴らしいワインを生産しているのがドメーヌ・デュジャックです。

わずか1代でブルゴーニュの「トップドメーヌ」へ

世界的に人気の高いブルゴーニュ北部の銘醸地、ジュヴレ・シャンベルタンとシャンボール・ミュジニーに挟まれ、当時無名だったモレ・サン・ドニのワインの知名度を押し上げた立役者が、「ドメーヌ・デュジャック」創設者のジャック・セイス。

ベルギー出身の彼は当時、父から譲り受けたパリの製菓会社を経営していましたが、ワインに魅せられブルゴーニュへ。名門ドメーヌのラ・プス・ドールで2年間修業し、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティの共同経営者であるオベール・ド・ヴィレーヌ氏や、アルマン・ルソーのシャルル・ルソー氏などの大御所たちをお手本にしながらワイン造りを開始。1968年の初リリース以降、華やかさと力強さを兼備した個性的な味わいで人気を集め、リリースすると即完売するトップドメーヌの1つにまで昇りつめました。

ブルゴーニュのドメーヌは、先祖代々ブドウやワイン造りを家業とする老舗が多いもの。その中で彼は異業種からドメーヌを立ち上げ、わずか1代でこの名声を築き上げた素晴らしい腕の持ち主なのです。

ドメーヌ・デュジャックが世界を魅了する理由

そんなドメーヌ・デュジャックのワイン造りの最大の特徴は、無除梗による全房発酵。なんだか呪文のように聞こえますが、簡単に言うとブドウについている茎を取り除くことなく、ブドウの房を丸ごとタンクに入れて発酵させる方法です。

「茎も一緒に発酵させて美味しくなるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。結論から言うと、ワインの風味が複雑になり、フレッシュな果実感のある素晴らしいワインになります。ここでポイントになるのが、ブドウが茎まで熟していること!ブドウの実が熟していても、茎が未熟だとワインに青臭さが出てしまいます。茎までしっかり熟したブドウを使うことで、滑らかなタンニンがあり、バランスの整ったワインになるのです。

特に他の黒ブドウと比べてタンニンの少ないピノ・ノワールでこれを行うと、ブドウの茎から出てくるタンニンが味わいの骨格を補強して、長期熟成も可能なワインになると言われています。

この「全房発酵」を積極的に行う生産者は、デュジャックの他にもブルゴーニュのトップブランドルロワドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティなど。世界トップの生産者がこの手法を用いてワイン造りを行っています。

またドメーヌ・デュジャックは、ブルゴーニュ北部では珍しい白ワインの造り手でもあります。1985年の霜害で一部のブドウ樹が枯れてしまったのをきっかけにシャルドネを植樹。「モレ・サン・ドニ ブラン」としてリリースしたのが始まりでした。今では全生産量のうち15%を白ワインが占めています。

この白ワインも赤ワイン同様世界中で高い評価を得ており、なかなか手に入らない人気アイテムとなっています。

父と子、家族で行うワイン造り

現在は、ジャックの2人の息子ジェレミーとアレックがそれぞれ醸造と販売を担当。さらにジェレミーの妻ダイアナも加わり、この3人でドメーヌを実質的に引き継いでいます。しかし、まだまだジャックも現役感たっぷり。ドメーヌの設立から半世紀が経ったとはいえ、ワイン造りに関して様々なアドバイスをしたり、顧客対応でカーヴを歩き回ったりと、いまもワイン造りにしっかり関わっているそうです。

そして、息子ジェレミーが醸すワイン、「デュジャック・フィス・エ・ペール」にも注目が集まっています。2000年にジェレミーは父のサポートの元、ネゴシアンビジネスを開始。その会社を「デュジャック・フィス・エ・ペール」と名付けました。会社名として「ペール・エ・フィス」(父子)という表記はよくあるのですが、「フィス・エ・ペール」(子父)は珍しいそう。中心となるのが息子ジェレミーであることの証です。

このデュジャック・フィス・エ・ペールは、ネゴシアンといっても単に畑を自分たちが所有していないだけ。畑の管理や手入れ、ブドウの収穫まで、栽培農家ではなくドメーヌのスタッフが行います。ブドウの購入契約は面積単位で行うため、収量制限も思いのまま。実質的にはドメーヌものと変わらない、今がねらい目のワインです。

オンライン店に限定入荷

華やかな香りと骨格、そして「松茸の香り」に似たウットリするような芳香がデュジャックの特徴。素晴らしい香りと、絹のような酒質がしっかりと感じられるピノ・ノワール好きなら必ずコレクションに加えたい生産者の一人です!

赤も白も、どのヴィンテージでも飲む者を魅了して止まないデュジャック。すぐ飲んでも、熟成させても楽しめます。ブルゴーニュトップの味わいを、ぜひご自身の舌で味わってみてはいかがでしょう。