はせがわ酒店本社にて、秋田県で「飛良泉」を醸す齋藤雅昭さんにご来社いただき社内セミナーを開催しました。前編では齋藤さんに大きな影響を与えたお祖父さんのお話や「山廃仕込み」のこと、そして蔵の改革についてお届け。後編ではいよいよ「飛良泉」で使う“水と米”のほか、「飛良泉 山廃純米 米違いシリーズ」とおすすめの飲み方についてお伝えいたします。
● 「飛良泉」のこだわりその③ 水と米
日本酒を語る上で欠かせないのがお水とお米の話。特に最近はお客さんや他の蔵元へ自分のお酒の説明をする際に、「仕込み水の特徴」から話すことが業界全体で多くなっているそう。それだけ「水」は日本酒の味わいに大きな影響を与える要素といえます。
蔵で使う水は鳥海山系の伏流水で、硬度は大体100を切る程度。日本の水は殆どが軟水で口当たりが優しく、ヨーロッパや北米はしっかりとした飲みごたえの硬水が多い傾向にある中で、「飛良泉」の“硬度100“という数値は”中硬水“にあたり、ほどよいミネラル感と余韻が特徴です。
「海が近いためか少し塩味も感じるような水です。その影響もあるのか、にかほ特産の岩牡蠣と『飛良泉』は相性抜群です。また、地元・「にかほ」の別地域から水を汲んできて日本酒を”水違い“で仕込むのも面白いんじゃないかと思っています。近い将来やってみたいです。」といきいきと語ってくれました。同じ蔵の商品でも”米“違いは数あれど、”水“違いで仕込んだアイテムはほとんどありません。今後は”水“の違いも比べて味わえるとより一層日本酒の世界が広がり楽しくなりそうです!
それに加えて齋藤さんが注力しているのは日本酒造りに欠かせない「米」のこと。地元・にかほ産米の使用量増加にチャレンジしています。以前は酒造組合を通して原料米を仕入れていたそうですが、「やはり“原料に勝る技術なし”だ」と感じ、現在は契約農家さんの増加に注力。「秋田」という県名だけあって元々良いお米が育ちやすいエリアですが、にかほ周辺の若い農家さんたちと密にコミュニケーションを取り合うようになったことで、より良いお米ができる好循環が生まれています。
「まだまだにかほ産の占める割合は足りず“夢の途中”といった感じですが、いまやっと蔵で使う半分以上のお米を契約農家さんのお米に切り替えることができ、酒質も着実にアップしてきました。それを反映させたのが『飛良泉 山廃純米』の米違いシリーズです。」
● 飛良泉 山廃純米 米違いシリーズとは
飛良泉本舗のラインナップのなかで特に香り穏やかで甘み控えめ、余計なものを削ぎ落とした食中で映える軽快な美味しさを「ネオ山廃」で追求するシリーズ。その味わいは齋藤さんが特に好きなスタイルだといいます。セミナーでは実際に利き酒もさせてもらいましたので、その印象やコメントと共にご紹介いたします。
◇ 飛良泉 山廃純米 秋田酒こまち
SAKE COMPETITION 2023の純米酒部門にてシルバーを受賞した1本。炊き立てのお米のような穏やかな香りに細やかな酸味と優しい調和感があります。軽やかな旨味と酸味が余韻でグッと伸びてきて、つい1杯、もう1杯…と手が伸びる味わいです。
◇ 飛良泉 山廃純米 無農薬栽培 美山錦
軽い熟成感のある香りと非常に綺麗でバランスの整った味わい。旨味がのっていてまとまりがありつつ、軽い飲み心地が楽しめます。まだまだ熟成のポテンシャルを感じさせる伸びしろのある1本で、齋藤さんのお気に入りでもあるそうです。
そしてなんといってもご注目いただきたいのが「裏ラベル」!そこには齋藤さんの情熱やメッセージが込められています。
「対面のイベントなどを除いて、僕とお客さまが直接コミュニケーションを取れる唯一の場所…それが裏ラベルです。『飛良泉』といっても各アイテムのキャラクターはひとつひとつ違うので、つい紹介文を書きたくなるんです。まるでアイドルをプロデュースするように、どんな服を着せてどんな歌を歌ってどう輝かせてあげるか。農家さんが丹精込めて作ったお米を僕たちが全力で醸し、それが酒屋さんを経てお客様の元に届くわけですが、行き着いた先で『こういう風に楽しんで、可愛がってほしいな』という想いを込めて書いています。商品ごとに裏ラベルを変えているので、ぜひ読んでみてください。」
◆ さらに…「飛良泉」を飲むなら“平盃”で!
お酒を飲む際 お猪口で飲むのもいいですが、齋藤さんが熱をこめてお勧めするのが「平盃(ひらはい)」です。平盃とは浅く広がった形が特徴の酒器のことで、お酒の繊細な味わいを一層引き立ててくれます。
◇飛良泉ロゴ入り オリジナル平盃
「形・薄さ・サイズ感がちょうど良い、飛良泉ロゴ入りのオリジナル平盃です。『飛良泉』は平盃がとてもよく合うので、僕は家ではいつも平盃で飲んでいます。 ぜひお家のコレクションに入れて可愛がってもらえると嬉しいです!」
私も実際にこの平盃で「飛良泉」を飲んでみたところビックリ!きき猪口よりも味わいに軽さが出て優しい口当たりになり、より一体感のある飲み心地になりました。酒器が違えば味わいの感じ方も変わる…それをしっかり体感できるひとときでした♪「飛良泉」の繊細な味を最大限に引き出すためには、平盃で飲むのがお勧めです。
そこで今回、「『飛良泉』を平盃で飲んだ時の美味しさをもっと多くの方に体験してみてほしい!そしてせっかくなら、美味しさ引き立つ感動も味わってみてほしい…。」そんな想いを込めたギフトセットご用意しました。
◇ 冬ギフト 平盃付き! 飛良泉と厳選おつまみセット
「素材を活かしたシンプルな味付けのお料理なら、絶対に『飛良泉』の山廃が合う!」という齋藤さん。今回ははせがわ酒店で取り扱っているおつまみの中から、シンプルだけれど止まらない美味しさの極上しおのり・ししゃも油漬・ホタルイカ油漬の3点をセットにしました。お家でしっぽり豊かな晩酌タイムを楽しむもよし、日本酒好きな方への贈り物にしてもよし。「飛良泉」を楽しみ尽くすセットもぜひお試しください。
● おわりに
今回特に印象的だったのが、齋藤さんの親しみやすい人柄と日本酒造りを楽しそうに語る姿。
「僕がなぜ日本酒を造っているかというと、人を喜ばせて・時には癒して・心を温めることができるから。それと、お酒の発売情報を見て・予約して・取りに行って開封するまでってすごく楽しいじゃないですか。そんな楽しみを作れるのって素敵だなと思っているからです。」
酒造りに対するお祖父さんの熱い想いを受け継いだ齋藤さんが、にかほの恵みを受けた水や米を使って造る「飛良泉」。”ネオ山廃”のつくりから生まれる特徴的な酸味は、食中酒としての魅力を引き出す大きなポイントとなっています。「美味しいお料理とお酒が好き!」という方にこそ「飛良泉」を飲んでいただきたいです。(その時には、ぜひ平盃で!笑)