先月行われたイベント(KAMPAI TO MEET)では、全国からたくさんの蔵元が集結。久しぶりのイベントということもあり沢山の方にご来場いただきました。「せっかくできたこの機会、より多くの方に蔵元の想いを伝えたい」と思ったオンライン店松丸、準備の合間を縫って計12の蔵元さんにインタビューをしてきました♪
最終回の第4回はオール焼酎蔵。AKAYANE・黒木本店・宝山編を公開です!
第3回の「勝沼醸造・兼八・蔵の師魂編」はこちらから ↓ ↓
● 鹿児島県・佐多宗二商店
お話を伺ったのは、蒸留家でもあり、はせがわ酒店の営業担当でもある中原さん。昔から店舗での試飲販売や新入社員研修の焼酎セミナーを担当してくれています。今回は造り手ならではの視点で新たな発見もあったようです。
久々のイベント、参加されてみていかがでしたか?(松丸)
―― コロナ禍を経て、「美味しいもの」や「安心できるしっかりした素材」で造ったものを探している方が多くなった印象でした。うちとしてもそういったニーズに応えていきたいなと思うきっかけになりました。(中原さん)
なるほど。今回は芋焼酎の「晴耕雨読」とクラフトジンの「冬」、スピリッツの「山椒」を出品されていましたが、特に反応が良かったものはどれでしょうか。(松丸)
―― 山椒は「見たことない!」といって注目される方が多かったですね。飲んでみてもらうと3~4杯おかわりする方もいて非常に好評でした。1本の金額だけ見ると高く感じるんですけれど、素材の山椒も無農薬のいいものを使って造っていますし、蒸留酒でアルコール度数も高いのでソーダ等で割ると1杯150円くらいなんですよ。(中原さん)
そう考えると安いくらいだと思ってしまいます。「山椒」わたしも好きで何度も飲んでいるのですが、本当にいい香りですよね。この香りを出すために気をつけていることはありますか?(松丸)
―― 素材によって温度の高いところで生きる香りと温度の低いところでいい香りが出るものと色々なタイプがあるので、そこを慎重に見極めて狙って蒸留するようにしています。でないと香りがぼやけてしまうので…これからも素材に合わせてベストな蒸留を追求しながら、良いものを生み出していきたいです。(中原さん)
「とにかくいい生産者の、いい素材がいっぱいあります」と熱を込めて語る中原さん。麹由来の余韻の柔らかさは、海外のスピリッツにはない日本独自の個性だと思いました。素材にも蒸留にもこだわって造られた佐田宗二商店の焼酎やスピリッツ、ぜひあなた好みの割り方を見つけてじっくりとお楽しみいただければと思います。
● 宮崎県・黒木本店
芋焼酎「きろく」や麦焼酎「中々」を生み出す焼酎メーカー・黒木本店からは、工場長を務める吉山さんがインタビューに応じてくれました。
今回は「きろく 無濾過」と「山ねこ 銅釜蒸留」、そして「OSUZU GIN」を出品されていましたが、どれが人気でしたか?(松丸)
―― 銅釜蒸留の山ねこは特に好評でした。通常の山ねこは飲んだことがある…という方でも銅釜バージョンは初めて!なんて方もいて、そういった方に飲んでみてもらうとやはり違いをしっかり感じていただけましたね。(吉山さん)
これまで山ねこ、山猿と銅釜シリーズをリリースされていますが、蔵としては「どんどん新しいことにチャレンジしていこう」という感じなのでしょうか。(松丸)
―― そうですね。銘柄の名前こそ変わってはいないですが、レギュラー商品でも以前からずっと造りを変更しながら取り組んできているので、実は中身はどんどん進化していっているというのがうちの蔵の造り方なんです。(吉山さん)
なるほど。山ねこが好きで自宅やお店でもよく飲んでいるのですが、年々綺麗で爽やかな飲み口になっていっているように感じます。これは最近の流行やさらにその先を考えてのことなんでしょうか?(松丸)
―― 流行を追うというよりかは、どちらかというと「常にいいものを造り続けたい」という想いが強いですね。結果それが時代の流れに合ってくれればいいなと思います。造りの中では常に”品質向上”のために何ができるかを考えていて、今は運良く評価してもらえる時代やトレンドではあるのかもしれませんが、私たちがやっているのは”モノづくり”なので…造り手としては常に「いいもの」を追求していきたいと思っています。(吉山さん)
流行を追うのではなく”より良いものを追求する”という姿勢が強く印象に残りました。この姿勢こそが永く支持され続ける銘柄を生み出す秘訣なのかもしれません。
● 鹿児島県・西酒造
お話を伺ったのは、営業担当の有馬さん。焼酎愛に溢れる有馬さんは、最近日本酒も買うようになってからさらに焼酎への愛が深まったようで…
―― 焼酎は開けてから2~3か月、長いものだと半年くらい常温で置いておけるところが良いですよね。この前日本酒を何本か買って飲もうと思った時に、「明日から出張だから今日はやっぱり開けられないな…」とか考えてしまって。そういった点を気にせず楽しめるのは焼酎のいいところだなと気づきました。(有馬さん)
開栓後どこで美味しさのピークを迎えるかはその日本酒によりけりですが、仕事柄ご自宅を空けることが多い方だと気になってしまうかもしれませんね。(松丸)
―― そうですね。その点焼酎なら、おうち居酒屋的な感じで色々なものを買っておいておけるし、日々の食事の中で「1杯目はこれ、2杯目はそれ」と自由に開けられるので気軽ですよね。しかもソーダや水割り・お湯割りなど様々な割り方ができるので、これはもう楽しみ方無限大だなと。(有馬さん)
ちなみに今回のイベントではどの飲み方が人気でしたか?(松丸)
いま流行りのソーダ割はもちろんですが、想像していたよりも水割りやロックで飲みたいという方が多かったですね。今回は果肉がオレンジ色で紅茶の香りがする「蒸撰 玉茜(たまあかね)」と、焼酎造りでよく使われる芋・黄金千貫(こがねせんがん)を完熟させてパッションフルーツのような香りを纏った「完熟芋麹全量」を出品しました。日本酒も酒米が違えば香りや味わいが変わってきますが、それは焼酎も同じ。ぜひお芋の品種にも注目して飲み比べてみていただければと思います。(有馬さん)
雄町好きな「オマチスト」のように、いつかお芋品種の造語も出てくるかもしれませんね。皆さまもぜひお気に入りの焼酎で、おうち居酒屋楽しんでみてください!
インタビューに応えてくださった蔵のみなさま、お忙しい中お時間割いていただき本当にありがとうございました。